第24記事

障害年金完全ガイド

今回は「透析患者のための障害年金」についてお話しします。

透析が始まったとき、お金のことが頭をよぎった方は多いと思います。私もそうでした。でも実は、透析患者には「障害年金」という大きな支えがあります。ただ、これが本当に誰も教えてくれない。今回は透析患者に特化して、制度の仕組みをわかりやすくまとめます。

透析患者は障害年金2級が対象

障害年金にはいくつか種類がありますが、透析患者が対象になるのは基本的に障害年金2級です。

透析治療(人工透析)を受けている状態は、原則として障害年金2級に該当すると定められています。これは透析患者全員に共通する話です。「自分は軽症だから対象外かも」と思わなくて大丈夫です。透析をしているだけで2級の対象になります。

障害年金には「障害基礎年金」(国民年金加入者向け)と「障害厚生年金」(厚生年金加入者向け)があり、会社員として厚生年金に加入していた方は、基礎年金に上乗せして厚生年金分も受け取れます。私は会社員だったので、両方受給できました。

初診日が超重要

障害年金の申請で最初に必ずぶつかるのが「初診日」の確認です。

初診日とは、障害の原因となった病気で初めて医師の診察を受けた日のことです。ここが透析患者にとって少しわかりにくいポイントで、注意が必要です。

たとえば私のように糖尿病が原因で腎臓が悪くなって透析になったケースでは、「腎臓で初めて受診した日」ではなく、「糖尿病と診断された日(糖尿病で初めて病院を受診した日)」が初診日になります。糖尿病と腎不全には「相当因果関係がある」と判断されるためです。要するに「糖尿病がなければ腎臓は悪くならなかった」という考え方ですね。

年金事務所に行くと、糖尿病と診断された病院の診断書(受診状況等証明書)を持ってくるよう言われました。さらに私の場合は糖尿病の合併症として網膜症もあったため、網膜症がわかった眼科でも診断書をもらいました。複数の病院が関係することも珍しくないので、どの病院がどの時期に関わっていたかを整理しておくと話が早いです。

もうひとつ注意が必要なのは、糖尿病と診断されてから透析になるまで10年・20年かかることも珍しくなく、昔の病院のカルテが残っていない場合があるということです。カルテの法定保存期間は5年なので、古い記録が廃棄されているケースがあります。初診日の証明ができなかった場合の対処方法もあるので、諦めずに年金事務所や社会保険労務士(社労士)に相談することをおすすめします。

透析患者は申請時期に特例がある

障害年金は通常、初診日から1年6ヶ月後でないと申請できません。でも、透析患者には特例があります。

透析開始日から3ヶ月後に申請できるのです。

透析は一度始まったら一生続く治療であることが認められているため、通常より大幅に早く申請できる仕組みになっています。透析を始めてから3ヶ月が経ったら、すぐに動くことをおすすめします。

障害者手帳と障害年金は別の制度

ここが多くの方が混乱するポイントです。

障害者手帳と障害年金は、まったく別の制度です。管轄している省庁も違います。手帳は都道府県・市区町村が窓口、障害年金は年金事務所が窓口になります。

手帳の等級と年金の等級も連動していません。私は障害者手帳が3級ですが、障害年金は2級です。手帳が3級だからといって「年金も3級かな、対象外かな」と諦めないでください。年金はあくまでも年金事務所に別途申請が必要です。

仕事をしていても受給できる

「働いていたらもらえないんじゃないか」と思っていた方も多いと思います。私もそう思っていました。でも、障害年金には所得制限がありません(20歳前傷病の障害基礎年金を除く)。

実際に私は、会社に復帰して仕事をしながら障害年金を受給していました。透析をしながら働いている方も、ぜひ申請を検討してください。

受給額はいくら?

障害年金の金額は、加入期間や納付状況によって変わります。また、子どもがいる場合は加算があります。

一般的な目安として、障害基礎年金2級は年間約80万円前後(月約6万〜7万円)です。厚生年金加入者はこれに上乗せがあるため、さらに多くなります。正確な金額は年金事務所で試算してもらうことができます。

申請から認定まで遡って支給される

障害年金は申請してすぐ振り込まれるわけではありません。申請後、審査・認定までに数ヶ月かかります。

ただし、認定されれば申請した月の翌月分から遡って支給されます。たとえば申請から認定まで4ヶ月かかった場合、その4ヶ月分がまとめて振り込まれます。私のときも、最初の振込でまとまった金額が入ってきて、少し驚きました。

ひとつ注意してほしいのが、傷病手当金との重複です。

会社員が病気や怪我で働けなくなったときに受け取れる「傷病手当金」を受給していた方は、気をつけてください。遡及支給の期間が傷病手当金の受給期間と重なっている場合、傷病手当金の一部返還を求める通知が来ることがあります。

これは「二重取りはできない」というルールがあるためです。知らずにいると後から突然返還通知が届いてびっくりすることになるので、傷病手当金を受給していた方は年金事務所や担当の社会保険労務士に確認しておくことをおすすめします。

誰も教えてくれないから、自分で動くしかない

正直に言います。障害年金のことは、誰も教えてくれませんでした。

病院のスタッフも、会社も、自分からは言ってくれません。私は入院中にふと思い立って自分で調べて、退院後に年金事務所に相談しに行って初めて詳しい話を聞けました。

透析が始まって3ヶ月が経ったら、まず年金事務所に相談しに行ってください。「透析患者ですが、障害年金の申請について相談したい」それだけ言えば丁寧に教えてもらえます。知っているかどうかで、毎月の生活が大きく変わります。

まとめ

透析患者と障害年金について、ポイントをまとめます。

・透析患者は原則として障害年金2級の対象
・初診日の確認が最初の関門。昔の受診記録が必要になることがある
・申請は透析開始日から3ヶ月後から可能(通常の1年6ヶ月より大幅に早い)
・障害者手帳と障害年金は別制度。手帳が3級でも年金は2級になる
・仕事をしながらでも受給できる(所得制限なし)
・認定後は申請月の翌月分から遡及支給される
・遡及期間が傷病手当金と重なる場合は一部返還通知が来ることがある
・金額は納付期間・家族構成によって異なる
・誰も教えてくれないので、自分で年金事務所に相談しに行くのが大事

透析生活はお金の不安が大きいです。でも使える制度はしっかり使う。それが自分の生活を守ることにつながると、私は思っています。

これからも「透析生活!」のリアルをお届けします。読んでくれてありがとう!

※この記事は実際に障害年金を受給している私個人の体験と調べた情報をもとに書いたものです。制度の詳細や申請手続きについては、必ず年金事務所や専門の窓口にご確認ください。

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