透析患者の災害時の備え〜調べてわかった「現実」〜
※この記事は透析患者の当事者が書いています。医療従事者ではありません。災害時の対応は施設や状況によって異なります。具体的な避難先・連絡方法・予備の薬の処方などは必ず通院先の施設・主治医にご確認ください。
こんにちは、透析生活!のアグーと申します。今回は透析患者の災害時の備えについてお話しします。
なぜこの記事を書こうと思ったか
私自身、透析を始めてからまだ大きな災害にあったことはありません。だからこそ「もし今地震や台風が来たら、自分は本当に大丈夫だろうか?」と不安に思いました。
調べてみると透析は災害にとても弱い治療で、備えがあるかどうかで命に関わる差が出ることがわかりました。同時に、「災害対策の情報サイトで勧められている備え方が透析患者の現実に合っていない」と感じる部分もありました。
今回は私自身の勉強も兼ねて、透析患者の実情をふまえた災害の備えをまとめます。
まず知っておきたい:透析は災害に弱い治療
血液透析は1回で水道水100リットル以上を使い、機械を動かすには電気も必要です。
地震・台風・大雨で「断水」「停電」のどちらかでも起きれば、透析施設は通常運転できなくなる可能性が高くなります。これが透析患者にとって災害が特別こわい理由です。
「薬を1週間分備蓄」は現実的に難しい
災害対策の情報サイトでよく紹介される「薬を1週間分、緊急用に別で備えておきましょう」という助言。
実はこれ、透析患者には現実的ではありません。
多くの透析患者は通院に合わせて1週間分の薬を受け取るのが一般的です。手元には常に1週間分しかない、というのが普通です。そこから「3日分を持ち歩き用」「1週間分を緊急用」と分けることは物理的にできません。
ではどうするか。主治医に相談して、災害用の予備処方を出してもらえないか聞いてみるのが現実的な解だと思います。施設や医師の判断によりますが、相談する価値はあります。
透析患者にとって本当にやれること
調べてわかった範囲で、現実的にやれることをまとめます。
1. お薬手帳・透析手帳のコピーを別に保管
透析患者は普段から手帳を持ち歩いている方が多いと思います。それとは別にコピーを家族に渡しておく・自宅の別の場所に保管するだけでも違います。災害時に手帳が手元になくても、家族や別場所のコピーで情報が残ります。
2. 自分の透析条件を把握しておく
避難先の別施設で透析を受けるとき、自分の条件を伝える必要があります。
- 透析時間
- ドライウェイト
- 使っている薬の名前・量
- アレルギーの有無
- 尿量(重要)
これらを紙に書いて持ち歩く、またはスマホに保存しておくと、いざというときに慌てません。
3. 通院先施設の災害時対応を確認する
多くの透析施設は災害時マニュアルを持っています。
- 災害時に施設に連絡する電話番号
- 連絡がつかない場合の集合場所・代替施設
- 災害時伝言サービスの利用方針
これらを担当スタッフに直接聞いておくのが一番確実です。
4. 家族との連絡手段を決めておく
災害用伝言ダイヤル「171」やLINEなど、複数の連絡手段を家族と共有しておく。電話が繋がらなくても伝言は残せます。
5. シャント側にケガをしない環境を作る
シャント側の腕にケガをすると透析できなくなります。寝床の近くや日常的に過ごす場所に、倒れやすい家具・尖ったもの・割れやすい物を置かないようにする。地震で物が落下したり倒れたりしたときに、シャント側の腕を傷つけないことを意識した部屋の配置にしておくことが大事です。
透析が遅れたとき、食事と水分はどうする?
調べたところ、災害時に透析が予定通り受けられない場合の自己管理の一般的な目安があります。
- 水分:1日300〜400ml + 尿量
- 塩分:1日3〜4g以下
- カリウム:1日500〜1000mg以下
ただし、水分・尿量・体に許容される量は個人差が大きいです。尿が出る人・無尿の人、心臓の状態、体格、透析の条件…これらすべてによって本当に守るべき数字は変わります。
上の数字はあくまで一般的な目安。自分にとっての具体的な制限量は、平時のうちに主治医・看護師・栄養士に直接確認しておくのが確実です。「うちの場合はどうですか?」と聞くことが、いざというときの一番の備えになります。
透析患者向けの非常食を備える
普通の非常食はカリウム・塩分が多いものがあります。透析患者向けに調整された非常食やレトルト食品も販売されています。
普段の食事制限と同じ感覚で、災害時用に少しずつ備蓄しておくのが現実的です。
災害が起きたらどう動くか
調べた範囲で基本の流れは以下です。
1. まず自分の安全確保
2. 通院している透析施設に連絡(透析できるか・できない場合の集合場所を確認)
3. 施設と連絡がつかない場合は最寄りの保健所へ
4. 指示に従い、別施設または避難先へ移動
「自己判断で動かない」が基本です。
まとめ
- 透析は水と電気が必須なので災害に弱い治療
- 「1週間分備蓄」の助言は透析患者には現実的でない。主治医に相談を
- お薬手帳・透析条件のコピーを別に保管
- 通院先施設の災害時対応は直接確認するのが確実
- 透析が遅れる場合の水分・塩分・カリウムの制限は個人差が大きい。自分の具体的な数字は主治医に確認
- 自己判断せず、施設・保健所の指示に従う
私もまだ完璧に備えられているわけではありません。今回調べたことを少しずつ自分の生活に取り入れていきたいと思っています。
これからも透析生活のリアルをお届けします。
※この記事は透析患者の当事者が書いています。医療従事者ではありません。災害時の対応は施設や状況によって異なります。具体的な避難先・連絡方法・予備の薬の処方などは必ず通院先の施設・主治医にご確認ください。
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